キトポリィ&キトグリーンの誕生
日本の紡績産業の成熟期を過ぎた六〇年代末、業界では「脱繊維」が大きく呼ばれ、それぞれの独自路線として他産業への新規参入や事業転換を、大手各社は模索していた。
富士紡績(株)の新製品部もまた、この頃特に、二十世紀最後のバイオマスといわれたキチン・キトサンの研究に注力しており、農業分野・食品分野・公害防止分野・医療分野を視野に入れた開発を繰り返していた。
キチン・キトサンは蟹やエビなどの甲殻類の外皮に多く含まれていて、毒性も無く、極めて安全性の高い天然成分である。なかでもキトサン・フィルムやキチン紙が生体と馴染みがよく、傷口の治療を早める創傷被覆保護や動物治療薬等の医用材料として、大きく期待されていた。
動物実験でも、細菌感染による膿腫に対して、すぐれた効果が得られていたからである。
医療分野展開の後、富士紡積(株)はキトサン粉末の超微粒子化に成功したのを機会に、ポリノジックの代名詞であるジュンロンに練り込み、衣料用への展開を発表した。
キトポリィの誕生である。 |